ご掲載いただき、心より感謝申し上げます。根羽村の森林が持つ可能性を「木の糸」という形を通して深くご理解いただけたこと、大変心強く感じております。
根羽村の森林資源が紡ぐ、循環型社会への挑戦
長野県最南端に位置する根羽村。村域の9割以上を占める豊かな森林は、私たちの宝であり、次世代に引き継ぐべき生命の源です。しかし、近年の建築需要の減少や安価な輸入材の普及により、国内の林業は厳しい局面に立たされています。間伐材の多くがバイオマス燃料などの低付加価値な利用に留まる中、私たちは「木そのものの生命力を、より身近な形で生かせないか」という問いを立てました。その答えが、根羽村の杉を原料とした「木の糸」です。
「木を纏う」という新たな価値
木の糸ができるまでには、気の遠くなるような手間と時間がかかります。間伐材を粉砕してセルロースを抽出し、それをアバカ(麻)と合わせて和紙を漉き、細く裁断して撚りをかける。この工程を経て生まれる糸は、木綿と織り交ぜることで、軽やかで吸水性に富み、洗うたびに肌に馴染む「育つ布」へと進化します。 阿部守一長野県知事に着用いただいたジャケットや、大阪・関西万博の医療スタッフ用ユニフォームに採用されたことは、この素材が持つ機能性とストーリーが社会に認められた証でもあります。
自然に還る、究極のサステナビリティ
私たちの製品の最大の特徴は、役目を終えた後の姿にあります。ポリエステルなどの合成繊維がマイクロプラスチックとして海を汚す現代において、木の糸は土に埋めれば微生物によって完全に分解され、再び大地の栄養へと還ります。これは、森から生まれたエネルギーを使い切り、また森へと戻す「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実践そのものです。 また、飯綱町の「りんごレザー」や、東御市のワイン造りで役割を終えたブドウの木による「草木染め」など、信州の多種多様な未利用資源と連携することで、地域全体で資源を回す仕組みを構築しています。
森林を守り、次世代へ繋ぐために
私たちの挑戦は衣服に留まりません。今後は、接着剤を使わず解体・再利用が容易な「オールウッドの小屋(Hut)ハット」の展開など、木の空間が持つリラックス効果を暮らしに取り入れる提案も加速させていきます。 木材の活用の幅を広げることは、地場産業としての林業を再生させ、結果として適切な間伐と植林を促し、山を守ることへと繋がります。根羽村でのこの小さな一歩が、長野県、そして日本各地の山村が抱える課題解決のモデルケースとなることを確信しています。
「木の糸」を手に取っていただく。そのお一人おひとりの選択が、百年後の豊かな森を創る力になります。この活動への深いご理解とご支援に、改めて深く感謝申し上げます。


